「さんわの子育てヒント通信」 受験期のメンタルについて

いよいよ12月、受験勉強も佳境に入ってきました。

この時期になると、生徒も保護者の方も、様々な不安を抱えます。

「受かるかどうか不安」「勉強に集中できない」「志望校はこれでいいのか」「模試の点数が低かった」「どう声をかけてあげればいいのか」「怒った方が良いのか、このまま見守ればいいのか」などなど…

ましてや今年は新型コロナの影響もあり、例年よりも不安に思われることが多いと思います。

三和では、こうした悩みを少しでも和らげる一助となるよう、毎月『さんわの子育てヒント通信』というメルマガを保護者様に配信しています。

今回は特別に、メルマガ12月号をご紹介します!少し長いですが、何かヒントをお探しの方はぜひご一読ください。

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三和個別学院に通う生徒の保護者様宛に、子どもたちのメンタルサポートの一助として、メールマガジンを配信させていただいております、三和個別学院 相談役の高橋伸彰です。

いよいよ12月に入り、受験生やご家族にとっては学力・体調と共に精神面での不安も多くなってくる時期ですね。

まずは学力について。
『勉強をすれば成績はあがる』
と思っていませんか?
答えは上がる場合もあれば、変わらぬ場合もあり、逆に下がる場合もあります。

努力が成績という目に見える形で現れにくいのが勉強です。
その理由については、とても長くなるので、詳しく知りたい方は、犬塚先生に聞いてください。^_^

この時期によくある成績が下がる場合の一例をあげると、受験を意識しすぎるあまり、難易度の高いものをやり始める生徒がいます。
それが自分の実力からあまりにもかけ離れて難易度が高いと、気持ちが萎えることがあります。すると勉強そのものに対して前向きになる気持ちが湧かず、ただやらなければならないという義務感から、やってはいるけどできない。できないから悩んだり不安になったりする。まして難易度が高いから理解するのに時間かかる。効率が落ちてしまって広範囲の知識が習得できず成績を落とす。なんてこともあります。

逆の場合ももちろんあります。難易度高い問題を試行錯誤していくことで、思考力がついて基礎以外の応用問題に対応できるようになる。という場合。ただし、基礎ができている、もしくは地頭が良い子の場合が多いように思います。

子どもを育てる上で食事は栄養を取り込むためにとっても大切な行為ですね。
だからといって、赤ちゃんの時から、固形物を食べさせるのは無理でしょう。ミルクから始まり流動食を経て固形物になってくるわけです。
同様に勉強もその状況によって、与える物が異なります。基礎から標準、応用問題とその子の学習修得状況に応じているわけです。

受験という目標に向けて知識を習得する場合は特に、広い範囲と難易度からの取捨選択をしなくてはなりません。
公立高校受験あたりであれば、闇雲に勉強しても、難易度がそれほど高くないので、量でカバーできますが、大学受験となると話は別で、やはりその大学に見合った難易度と範囲を効率良く学習しなくてはならなくなります。その点、指導力のある塾に入っている皆様は心配無いかと思われます。

さて、ものごとを進めていく原動力。それはやる気です。そのやる気を起こしてくれる一つに、自己肯定感があります。簡単に言うと『自分はできる。』という気持ちです。この気持ちを養うには成功体験と称賛が必要です。
問題ができた(解けた)という喜び、それが成功体験ですね。でもできたことが喜びにならない場合もあります。それはこんな簡単なものができて当たり前。という気持ちが本人にある場合です。
成績の良い生徒にありがちなのですが、難問を解けなければダメだ。と思っている節があり、成績はあくまで100点(もしくはそれに限りなく近い点)にしか価値がない。と思っている生徒。価値観については個人の物差しなので、それで良いのかもしれませんが、ただ弊害として学習に対する考え方が偏る場合があります。それは『簡単な問題や基本問題を軽視する傾向を持つ』というものです。元来地頭が良い子に多いのですが、理解が早いために基本問題を軽視したり、練習不足になることがあります。わかることとできることは違います。また練習はミスを減らすことに繋がります。

一流のアスリートほど基本の反復練習に時間を割いています。そこに上達の道があるからです。
できて当たり前の気持ちがある生徒は喜びません。そしてできないことを責めます。勉強すること=100点を取ることという縛りを設けてしまいます。もしかしたらそういう環境下で小さな頃から育てられたのかもしれません。
拗らせると自己卑下や自己否定になります。自分はできない。
平均よりできている場合でもそう思い込んでしまいます。基礎練習に時間を割かないことで、ミスが出る場合があります。そうなると尚更、自分はこんな簡単な問題もできない。と自分を責めることもあります。

物事の成功には自信が大きく影響します。
自信とは自分は大丈夫だ、できるんだ、超えられるんだ。という気持ちです。
それを育むのは日頃の行いの結果をどう捉えて、成功体験としていくか。です。
失敗をしない人はいません。勉強なら、できない問題がない人もいません。でもその失敗やできないことを乗り越える壁として、前向きに捉えるか、自分はダメなんだと自責の念として蓄積するかでは、自分への信頼度は変わってきます。

僕らは生まれた時何一つ自分ではできません。親の手助けがなければ、食べることすらできませんでした。勉強において、できなくて当たり前なんです。知らない知識は、知らないのが当たり前。聞いたことのないことを知ってる人なんていないでしょ?
勉強を経て出来るようになった僕らが、始めて挑戦してる子どもたちに上から目線で「こんなこともできないの?」なんてどんだけ傲慢なんでしょうか?たまに勘違いした先生を違う塾などで見かけますが…。その子と同じ学年の時、そんなに簡単にできたのか?できたとしても人にはそれぞれ個性と習得のために必要なスピードの差異がある。大人になって先生になって「そんなこともわかんないの?」と僕が言ってやりたくなります。

毎月横道に逸れてしまいますね。ちと熱くなってしまいました。

先程の自信の話ですが、自信は自分で築き上げていくだけのものではありません。自信は他人の称賛によっても育まれます。褒めることの弊害を説かれる先生もおりますが、僕は褒めることで自信がつくならそれで良いと思っています。子どもが過信するならするで良いと思っています。過信は大人になる過程で過信だと気がつく経験を必ずします。その時に修正すれば良いと思います。野球だってサッカーだって、子どもの頃はプロになれると子どもは思っています。それをわざわざ子どもの頃に潰す必要なんてないのと同じです。上手く行った時には褒めて、失敗した時には慰めて次に向かわせる。失敗は失敗ではなくあくまでも次に向かうステップなんだということを教えてあげて、励ますのが良いと思います。間違っても失敗を責めないでください。

僕はできたから褒める、できなかったから叱るというものではなく、できないのが当たり前という観点をベースに、学習に取り組むことや新たな知識を習得したことを褒めてあげて欲しいと思っています。成果、結果のみの判断ではなくて…。もちろん結果が求められるのが社会ですが、それだけがその人の価値では無いですよね。例えばオリンピックでもメダルを取ったから良い、取れなかったから悪いじゃなくて、あの大舞台に立ち、全力のプレイをして皆を魅了したこと。それが大事です。結果こそ3位まで入らなかったけれども、その姿は勇気や感動を与えてくれた。そのプレイは賞賛に値すると思いますよね?

人間には得意不得意があります。勉強苦手、嫌いな子がいます。その子たちが、受験という目標に向かって、今まで普段の生活では、1時間も勉強しなかったそんな子たちが、塾に来て、2時間も3時間も机に向かうんですよ。それも毎日のように来るようになるんです。
苦手なことを嫌いなことに、取り組んでるんです。彼らなりの一生懸命さで頑張っているんです。そんな彼ら彼女らを結果だけで判断して欲しくないなぁとは思います。もちろん受験だから受かってもらいたいし、そのために塾で勉強するわけなんですけど、その過程も見てあげてほしい。認めてあげてほしい。僕はそう願っているのです。

結果は大切。でもその過程の中で苦手なものに何時間も何日も何ヶ月も取り組んでくれた子どもたちを、僕は本当に素晴らしいと思うんですよね。
できればそんな風に頑張っている子どもたちにちょくちょく、声をかけてあげてほしいんです。褒めてあげてほしいのです。受験なんだから当たり前…じゃないということを知って欲しいです。当たり前なんてホントは無いから。勉強苦手で最後まで塾に通えなかった子だっています。学校通えない子だって世の中にはいます。学校通って、部活やって、塾行って…。
僕、仕事行って、カルチャー教室行って、資格の勉強してなんて、とてもじゃないけどできません。
だからそんな風に頑張ってる子どもたち、偉いなぁって尊敬してます。

自信は崩れます。積み上げた結果だけを自分の価値の拠り所にすれば、結果がともなわないことに当たれば、今まで積み上げた自信すらも失ってしまうことはあります。

大事なのは自尊心です。何もできない自分も尊い、もしくは今までしてきたこと、失敗も成功の体験も全て価値あるものと思えることが大切だと思います。
経験も含めた自分への自負こそが、自己肯定感を生みます。その上に積み上げた結果を自信に変えていければ、例えしくじっても、自らを貶めることは無いでしょう。
自分の存在の尊さを知って、経験を自らが認めている上で、チャレンジすればもし結果が望むものでなくても、それを踏まえて新たな選択をすることができるはずです。

大好きな両親に無条件の愛情を注いでもらえると自尊心が育ち、経験を重ねることを認めてもらえると自己肯定感が育ち、結果だけではなく取り組みを含めた努力を褒めると自信が育ちます。

12月、これから更に神経質になる子どもたちに、暖かい言葉と温かい栄養満点の食事を♪

お食事の時にでも
『今日も塾で勉強してきたの?頑張ってるね。』
そう言ってあげてください。

コロナをはじめ、インフルエンザ、ノロウィルスと体調管理に気を使う日々が続きますが、どうか皆様乗り切ってくださいませ。

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