先日、某コラムで「個別授業と集団授業」でどこが違うか?? が取り上げられていました。
それによると、
「個人のペースに合わせるかどうかの違いだ」
「基本的に授業でやっていることは変わらない」
とのこと。
私の感想は…
「そんなわけあるか!!!」
です。
私は個別授業と集団授業、両方の経験がありますが、本来は全くの別物だと考えています。
同じようなものになってしまうのは、個別授業とはいいながら結局は画一的・一方的な指導になってしまっている「量産型個別指導」が横行しているからだと思います。
個別授業の特徴は、
1.「対話型の授業」
2.「一人ひとりに合わせて説明・出題・範囲・ペースを全て変えていく」
3.「解く姿勢やノートなど一つ一つに目が届く」
ことだと考えています。
まず1.対話型の授業ですが、ただ説明を聞く受け身の授業ではなく、先生と生徒のやり取りの中で説明が進むので、生徒が参加している、生徒が主役になっている感覚があります。
また、対話の中で講師が、生徒がどのように思考しているか、どの点がわかっていないのか、という点を把握することができます。それによって教え方を変えていくのです。(前の単元に戻って説明する、例を挙げる、など)
そして、先生と生徒の1対1の会話が生まれるので、そこに信頼関係が生まれてきます。
このあたりは、熟練の集団塾講師であれば似たようなことが実現できる場合もあります。ただ、集団形式でそこまでのことを実現できるレベルの講師はごく一部ではないかと思います。
次に2.一人ひとりに合わせて変えていく授業ですが、これは生徒によって性格・前提知識・理解スピードや理解の仕方の特徴が異なるので、当然のことです。
野球が好きな生徒ならば、野球のスコアで正負の計算を説明する。
文字式が苦手な生徒に方程式を教えるならば、文字式のしくみのフォローを入れながら説明する。
自分でじっくり納得したい生徒ならば、一つの説明を短くして、一区切り終わったら少し時間を与える。
言葉よりも視覚的なイメージが得意な生徒ならば、図を書いて例示する。
自分でやってみたがる生徒ならば、一度やらせてみて失敗したところだけをフォローして正解に導いていく。
などなど、同じ単元の授業でも生徒によって教え方が変わってきます。
日常生活でも、話し相手が変われば話す内容や話し方は変わってきますよね?授業でも全く同じことです。
また、生徒の学力や目標、定期テストの出題傾向によって、そもそも教える単元を取捨選択することができます。これはテスト第一主義ということではなく、その時に生徒に必要なレベルの課題を与えてクリアしていってもらうことにより、達成感と自信を持ってもらうことにつながるのです。
最後に3.生徒の様子を細かく観察することができます。
どこに時間を使っているのか、ノートに図や途中式を書くことができているか、筆算を隅っこに小さく書いて消していないか、今日はなんとなく気持ちが乗っていないのではないか、などなど…。
それによって、勉強を進めるうえでネックになっているところを発見して、修正していくことができます。
私自身は、まず個別授業から入り、その後に受験対策として集団授業の必要があったので他塾の授業を見学したり参考にしながら集団形式の勉強をした、という経歴です。
ですので、集団授業をやり始めの時は、集団形式だと上記の3つができない!と非常に戸惑った覚えがあります。
もちろん集団形式にも良さがあるのは重々承知しています。
どちらがよい、というわけではなく、合う・合わないの問題だと思います。
ただ、個別授業は集団授業とは別物だ、集団形式とは違うメリットがある、ということは声を大にして言いたいと思っています。